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Spinnup アーティストインタビュー:4ceFINGER

DJ QUIETSTORM や DOGG (Mic Jack Production) のプロデュースで活躍していたベテランラッパー 4ceFINGER が満を持して新作を発表。「4」という数字との生まれながらにしての結びつきと強いこだわりのもとに制作された新作『44 MAGNUM』の薬莢には大口径から飛び出す威力抜群の銃弾4発(4曲)が込められた。奇しくも4ceFINGERの節目の年となった2021年、因果に導かれるようにして日本各地から集結したビートメイカーが順に紡いだというヘヴィなキックに、コロナ禍への鬱憤をぶちまけるようなキレのあるラップを絡ませつつも、どこかユーモラスな言葉選びで緩急をつけているのがまさに4ceFINGERらしさなのではないだろうか。44歳にして新たな制作への挑戦へと目覚めたきっかけや、作品のコンセプトについて語ってもらった。

4ceFINGER アーティスト写真

ソロ名義では久しぶりのリリースとなる本作ですが、今回新たな作品の制作に取り組むことになったきっかけやエピソードがあれば教えてください。

東京に住んでいる時に、”妖怪倶楽部” というパーティーを定期的に主催していたのもあって、音声SNSのClubhouseが流行ったときに “Anata To Watashino 妖怪倶楽部” と言うトークルームを作ってみたんです。パーティーに昔から遊びに来ていた人や新しく集まった人達で音楽談義に自由に花を咲かせていた中で、ビートメーカーやアートディレクターなどが集まってきて。それで「作品作っちゃおうか」と、かなり緩い感じで始まりました。

 

『44 MAGNUM』はひとつの作品から4発の弾丸が放たれるような、一貫したテーマに基づいた非常にコンセプチュアルな作品だという印象を受けました。作品を作る上で大事にしたことや、作品を通して伝えたいメッセージはどのようなものでしょうか?

自分自身、長年4ceFINGERを名乗っていて、2021年で節目の44歳ゾロ目になって。何か動かなきゃ次のゾロ目は444だ、そこまで行けばヨーダクラスだ!なんて、おバカな空想をしながらも、とにかく「4」という数字にこだわった作品をつくりたいという気持ちがあって。そしてなにより、このコロナ禍でなにか掌握されてしまっている状況に、言葉を思いきりぶつけたかった。今回の作品には自分なりの、この世界や日本に対する思いが散りばめられています。

 

今回の作品にも、アーティストネームにも使われている「4」という数字には、やはり特別なこだわりや結びつきがあるのでしょうか?

両方の指が生まれつき4本だったということもあり、当時の札幌の先輩に「コレはお前の武器になるぞ!今日からは4番目の男 ”4thFINGER” だ!」と、命名されたのがはじまりで。その後に ”Force” には ”パワー” と言う意味もあると知って、4ceFINGERという名義になりました。因みに両指8本を使うDJ Octopus (オクトパス) という名義でも活動をしています。これからもどんどん進化していきますよ、笑。

 

本作のプロダクション面でこだわったことや、これまでの作品にはなかった新しいチャレンジなどはありますか?

フック (サビ) を全曲統一させて、1曲目から4曲目までを通じてひとつの物語を完成させるという考え方のもとに制作をしました。まず1曲目に FORMULA (フォーミュラ) が手を上げてくれたので、ビートの雰囲気をキープしながら。2曲目は DJ ATS (エーティーエス) がその感じを引き継いで、3曲目に SUDD (スッド)、そして4曲目には DJ SHIN-G (シンジ) といった感じで、ビートが出来たら次の人に聴かせていくといったリレー方式で作り上げていったんです。そのビートが完成していく途中段階で、リリックを次々とぶつけていくというのが自分にとってはチャレンジでしたね。ありもののトラックではなく「Bullet」に基づいたフレッシュなトラックがどんどんやって来るので、自分的にも次はどんなビートがくるんだろう?とワクワク感を楽しんでいました。

 

このアルバムを完成させる上で影響を受けた作品、もしくは最近よく聴いていたり、気になっているアーティストがいたら紹介してください。

今回のアルバムを作る上において特に影響を受けた作品は無いのですが、音楽はHIPHOPばかりではなくその時の気分によって好きなものから選んで聴いています。決まった曲を聴くのではなくて、朝には自分なりに朝を感じる曲、夜だったら夜を感じられる曲をかけたりだとか。寝る時は無音ですね、笑。
好きなラッパーやDJはたくさんいますが、ブルックリンのラップグループのBlack Moon(ブラック・ムーン) の Buckshot Shorty(バックショット・ショーティー) は特に敬愛していて、”小さな巨人が町を牛耳る” 的なノリが大好きです。DJでは、Jurassic 5 (ジュラシックファイブ) の Nu-Mark (ヌ マーク) とかがツボです。日本では、RINO LATINA II (リノ・ラティーナ・ザ・セカンド)、 DJ YAS (ヤス)、 そしてLAMP EYE (ランプ・アイ)。わかりやすく言うとさんぴんCAMP世代なので、彼らにはイイ意味で、相当喰らいましたね。まだまだ好きなアーティストはたくさんいるもののキリがないので、まず自分的に絶対に外せない!という方々を紹介させていただきました。

 

長きにわたりHIPHOPシーンの興隆や変化を体感してきたなかで、最近のHIPHOPシーンの盛り上がりやカルチャーについてはどう思われますか?

最近は何周も回ってようやく日本にもHIPHOPが定着してきたように感じていますね。僕自身、10代後半からの趣味の延長線でありながら、この歳になってもラップを続けているわけですが、もう自分の中ではHIPHOPは「辞める / 辞めない」で語れるものでは無くて、生き様 (スタイル) になってしまっているというか。「火、空気、水、土」にかわる自分の中に染み付いたHIPHOPカルチャー四元素が、「DJ、MC、GRAFITTI、B-Boying」っていう。だからいずれヨーダみたくなってもこのノリなんだと思います、笑

 

現在は札幌在住ということですが、札幌には独自のHIPHOPシーンやおもしろいコミュニティなどはありますか?

高校生の時に室蘭から出てきて思ったことは、子供ながら音楽の流行が独自でなおかつ早いし、もう31年目になる老舗かつ名門、CLUB GHETTO で今でも皆が切磋琢磨しているイメージがありますね。札幌から日本代表になったTHA BLUE HARB (ザ・ブルーハーブ) や Mic Jack Production (マイクジャックプロダクション) も間違いなく CLUB GHETTO 出身と言って過言では無いと思います。現在進行形で独自のカルチャーが育ち、根強く残っていく街だとも思いますね。

 

今後の予定や展望、アーティストとして挑戦してみたいことがあれば教えてください。

『44MAGNUM』を作った事によって自分なりの制作ペースがまたできてきたと思うし、やる気に拍車がかかった感じです。待っているだけでは出来ないこと、思い描いた物を作品にしていきたいですね。色々と予定はみえてきているので、今後も楽しみにしていて下さい。

 

この作品をきっかけに、新たなリスナーが4ceFingerの音楽に出会うことになると思います。このアルバムの中でまず、そんなみなさんに聴いて欲しいと思う1曲と、そのポイントを紹介してください。また最後に、ファンのみなさんへのメッセージがあればお願いします。

この作品のフック (サビ) は「空の薬莢に言葉つめ打つ 44 (フォーティーフォー) 耳元直通 スタイル HipHop 投げかけ問う今日 影響与え合い 立ち向かう方法」というものなんですが、4曲ともあえて同じにしているんです。 みんなが覚えてくれて、ライブで大合唱になったらめちゃくちゃ盛り上がるだろうなぁと思って作ったこと、そしてビートメーカーがリレー形式で楽曲を作っていく形にしたおかげで、実はかなり深い所で全曲が繋がっているということを感じながら聴いてくれたらありがたいです。だからこそいち早く、現場で声を出し合ってコール&レスポンス出来る世界を復活させたいですね。長らくお待たせいたしましたが、久しぶりの作品ガッチリ聴いて下さいませ!