アーティスト

Spinnup アーティストインタビュー:MICK

YouTuberとして、アメリカでのリアルな学生生活を綴ったVlogや社会実験動画で大きな注目を集めてきたMICKが音楽アーティストとして本格的に始動を開始。これまでのMICKとしての活動に別れを告げる決意を込めた、”完結篇”としての全21曲を詰め込んだコンセプチュアルなデビュー作『LAST EMO』を6月に緊急リリースした。過去の自分と決別し、新しい挑戦に向けて毅然と進み出した彼に、音楽への向き合い方や作品に込めた想いについて語ってもらった。

 

YouTuber、アパレルブランドの立ち上げなどマルチな活動をされてきましたが、音楽制作をはじめようと思ったそもそものきっかけは?

音楽を始めた理由は色々あって、まだ自分の中で上手くまとめきれていないので、今答えるのは正直難しいです。ただ、音楽を鳴らす上で一番好きなのが ”表現” が出来るということです。ネットの記事やソーシャルメディア上に溢れている情報の中で、自分の感情を表現出来る方法の一つが「音楽」だと思っているので。まだ19歳といっても、これまでの人生経験において、いろいろな感情を抱いてきました。その感情を最大限に表現してくれる音楽を通じて、感動だったり情熱だったり、聞いてくれる人にプラスの感情を添えるような表現をしたいですね。

 

21ものピースで成るこの作品はデビュー作にして大作と呼べますが、いつ頃から本格的に制作や構想を開始したのでしょうか?

自分でも説明がつかないんですが、僕って凄くアバウトに自分の先の未来が見えるんですよ。もともと将来自分の中で変化が起きて、それが起点となって本格的にアーティストとして人生を歩むんだろうって漠然としたビジョンがあって。YouTubeに関しても、中学生くらいの時には自分がいずれYoutuberになるだろうと思っていて、それが実現しているので。自分の気持ちに正直に従っているんだと思います。それで良いと思うんですよね、無理に心に逆らう必要はないですし。だからアーティストとして生きていくことを前提に、自然と曲を作る機会はありました。本格的な制作を始めたのは「Feelin’」のMVを仕上げたくらいから。事件が起きたことで一気に感情が舞い上がって、一気に10曲書き上げたなんて時もありました、笑。

 

普段はどんな時に音楽を思いつくのですか?制作風景の伝わるのエピソードがあれば教えてください。

曲を作るやり方って人それぞれに無限にあって、これといった正解はないと思っているんです。数学でも、科学でもない。でも、自分が創造した音楽が正解。音楽は表現の場だと思っているので、大きな感情、例えば怒りや悲しみというテーマに沿って曲が完成することもありますし、メロディーが浮かんでから、テーマを思いついて作ってみるときもあります。この2つがマッチするときに、1番素晴らしい曲が出来ると思っています。「Feelin’」や「Sad Wave」なんかは、特に手応えがあった。といっても全然満足はしてないんだけど、笑。今制作中の曲もどんどん進化してっているので、是非これからに注目して欲しいです。

 

現在のスタイルにたどり着くまでに、影響を受けたアーティストは?その理由や魅力を感じる部分も教えてください。

現在のスタイルといっても、まだ全然安定してなくて。まだまだ進化中です。アーティスト名もMICKとして続けていくつもりはありませんし、近い将来に変える予定です。新しい自分になるために作品を完成させたので、「MICK」というアーティスト名とかは非常用の仮名みたいなものです。影響を受けたアーティストについて、今は特定の名前を挙げたくないんですが、日本の音楽には強く影響を受けています。メロディーや歌詞、すべてが美しく感じられて、とても好きです。特に90’sの日本の音楽。

 

昨今はルーツやカルチャーの枠を越えて、ミックスアイデンティティを持つZ世代のアーティストが世界中で活躍しています。3つの言語が入り混じる作品はそういった時代的な流れの象徴ともいえると思うのですが、作品を完成させる上で特にこだわった部分や、強く込めた想いについて教えてください。

今回のアルバムは始まりから終わりまで、すべてがひとつのストーリーのように繋がっています。「beginning」「changing」「wishing」「ending」という計4つのチャプターで構成されているので、それを意識した上で、是非聴いてみてほしいです。曲のクオリティに関しては満足できていない部分も多いのですが、アルバムのストーリーラインはうまく表現できたと思っているので。このアルバムで一番伝えたかったのが「別れ」について。特に「Sorry」という曲は、その別れのエピソードを強く込めたアルバムの主役ともいえる曲です。こだわりといえば、ラストの「夕暮れの10月」。別れの後の旅立ちを表現していて、Lofiなメロディーとともにこのアルバムの幕が閉じるイメージなんですが、曲の最後数秒のカモの鳴き声と夕暮れを表現するサウンドは、いよいよアルバムが完成するというタイミングで、ミキシング担当に無理を言って取り入れてもらったものなんです。急遽リテイクを頼んだときに彼が膝からガクンと崩れ落ちたところ、今でもはっきり覚えていますね。申し訳なかったです、笑。

 

作品にはこれまで自分のルーツやアイデンティティに向かい合い、葛藤を感じてきたことが強く表れていますよね。同じようなもどかしさや辛さを抱える人、マイノリティであることに悩む人に伝えたいメッセージは?

「抱え込んでるその想いは君だけのものじゃないよ」というのと、「感情は出したい時に思い切り出してもいいんだよ」ということは伝えたいです。アルバムの一つ一つの曲が誰かにとって何かのプラスになって欲しい。できることなら病院の薬箱の引き出しみたいに、辛い時に曲を再生してほしい。そうしてもらえたら、めちゃくちゃ嬉しいです。

 

この作品を世界に向けてリリースしたことで、ご自身の気持ちや生活に変化はありましたか? 作品を聴いた周囲の反応や、ポジティブ / ネガティブな変化などがあれば教えてください。

今回のアルバムのおかげで、気持ちよく、そしてMICKらしく全てを終えることができた気がします。今は、新しく自分を目指す旅を始めたところなので、これからの人生に、これまでとは違った楽しみができたような気がします。ネガティブな変化は、YouTubeを通して一緒にプロジェクトをしてきた人達と関わりがなくなってしまう事ですかね。そこがモヤッとしてるかな。でもポジティブな変化の方が強いです。また新しい環境で新しい人達と出会う機会が増えると思うので、それが楽しみです。

 

今後、音楽を通じてコラボレーションをしてみたいアーティストやクリエイターはいますか?

人種の縛りなく、世界中のいろいろな人達と音楽を鳴らしたいです。最近はベルギーの子と曲を作ったりもしていますし、カッコいいトラックを奏でているドイツの子とも知り合って、何か面白い事をしようって動き出しています。音楽って最高ですよね。僕はお互いの感情を思い切り吐き出す時、レコーディングでマイクに想いをぶつけている時が最高に気持ちいいです。心で通じ合うとはまさにこの事で、音楽は言語や人種関係なく繋がれる世界だと思ってます。感情のやり取りをする場でもあるし、凄く不思議な世界、だからその分面白いんです。

 

これまでにも次々を様々なジャンルでチャレンジをしてきているわけですが、今年新たに挑戦したいことをひとつ挙げるとすると、どんなものですか?

いつか日本でライブがしたいです。その為に毎月EPを出して、その中でベストな1曲のMVを作っていきたいです。簡単に思えるかもしれませんが、見えない部分でやるべきことがたくさんあって、続けていくことは大変なんです。アバウトな挑戦内容ではありますが、一歩一歩進んでいくための目標ですね。とりあえず、頑張ってます!笑

 

音楽アーティスト ”MICK” をはじめて知る人に、まず名刺代わりに聴いてもらいたい楽曲を1曲選ぶとしたらどれですか? その理由も教えてください。

MICKというアーティストは自分としてはこのアルバムで完結してしまうのですが…、まずは「Stars」ですね。この曲は自分の中に新しい道を作るため、過去の自分から進化する自分への、架橋となる一曲だと思うので。