Tips

NFTはアーティストやミュージシャンにどんな影響をもたらすのか?

2021年に入ってから、音楽、アート、エンターテインメント業界において「NFT」というキーワードをよく見かけるようになっているかと思います。

音楽の分野では、GrimesやThe Weeknd、LINKIN PARKのマイク・シノダ氏といった著名なミュージシャンから、イーロン・マスクといった著名人までNFTを利用した作品やコンテンツを発表しています。また、海外のみならず、日本人アーティストのせきぐちあいみ氏によって発表されたVR映像作品が非常に高い価格で落札されるといった事例も発生しました。

このように、少し周りを見渡しただけでも、著名なアーティストによって眼を見張るような利用がなされているNFTは、アーティストやミュージシャンにとって今後どのような影響をもたらすのか、また、私たちはNFTをどのように活用できる可能性があるのかについて、今回のブログでは検証してみたいと思います。

NFTとは
NFTはどのような分野で期待を集めているのか
アーティストや音楽業界内での具体的な事例
音楽業界・アーティスト・ミュージシャンへの影響やメリット
懸念すべき点

 

▼NFTとは

NFTとは、「Non-Fungible Token」の略称であり、日本語では「代替不可能なトークン」と訳することができます。NFTは、デジタルコンテンツを所有する際に、ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)のベースとなる、データ管理技術である「ブロックチェーン」に所有権を記録するが可能であり、それによってそのデジタルコンテンツを所有者が「所有している」ということを証明できます。

つまり、デジタルコンテンツに関しても、「このコンテンツはある特定の人しか所有できない特別なものである」という付加価値(=代替不可能な価値)を与えることがNFTによって可能になると言えます。

 

▼NFTはどのような分野で期待を集めているのか

NFTはもともとゲーム分野において活用が始まったとされており、現在でもその影響は残っています。具体的には、アイテムを収集するアクティビティがあるオンラインゲーム上で、収集したアイテムに対する所有権をNFTによって主張できるようになり、希少性の高いアイテムに価格をつけてユーザー同士で売買するといったことが広まったため、その利用に加速がかかったとされています。

また、アニメや漫画を中心としたコンテンツ・IPの分野においても、NFTを活用したビジネスが生まれていることも注目すべき事象と言えるでしょう。たとえば日本では、「シュタインズゲート」や「進撃の巨人」といったタイトルにおいて、デジタルアートワークの所有権を販売するといった事例を見ることができます。

その他にも、会員権ビジネスや、不動産領域においても活用が始まっており、この先非常に広い分野での活用が期待される技術であることが伺えます。

 

▼アーティストや音楽業界内での具体的な事例

エレクトロニックアーティストのGrimesは、2021年2月に米国のデジタルアートマーケット、Nifty Gatewayに映像作品を48時間限定で出品し、約600万ドル(約6億4000万円)を売り上げました。
また、作品の売上の一部は炭素排出量の削減専門のNGO、Carbon180に寄付されるということです。

ミクスチャーバンドLinkin Parkのメンバー、マイク・シノダ氏は2021年2月より、NFTを売買することができるプラットフォーム「Zora」で、NFT形式で発行された音楽作品のオークションを実験的に開始しています。現在マイク氏のページでは、数点の作品が掲出されており、本人は想像以上に高い値段がつけられていることに対し、プラットフォームによって得られる収益が一律になりやすいアーティストに対して、違ったメリットを与えるものにNFTがなり得るという手応えを感じているようです。

NFT売買プラットフォーム上で希少価値の高いコンテンツを販売するといった試みは、The Weeknd や Aphex Twin、イーロン・マスク氏によっても行われていますが、米国のロックバンドKings Of Leonは、2021年3月に発売した、ニューアルバムのNFT版をネットオークション上で販売し、200万ドル以上の売り上げを達成しました。このNFTは、デジタルコンテンツだけではなく、メンバーによって撮影された写真やアルバムのアナログ盤、ライブをVIP席で楽しめるといった特典を合わせて販売した、新しい事例として注目されました。

日本人アーティストにおいても、VRアーティストであるせきぐちあいみ氏の作品「Alternate dimension 幻想絢爛」が 2021年3月に、NFTオークションサービスのOpenSeaにて約1300万円で落札されており、日本人アーティストが非常に高値で作品を販売した事例として注目を集めています。

サービス事業者としては、デジタルイベントのパイオニアであるZAIKO社が 2021年3月に、Curvegrid社と提携してアーティストのためのNFTプロダクト「Digitama」を発表しています。このプロダクトにより、アーティストおよびイベント主催者は、発行したNFTがより高額で新たな所有者に転売された際に、一部の収益を受け取ることが可能となるとZaiko社は述べています。

 

▼音楽業界・アーティスト・ミュージシャンへの影響やメリット

上記のように、アーティストやミュージシャン、事業者による多方面での取り組み事例が見られるNFTですが、具体的にどのような影響やメリットをもたらすのでしょうか。

まず、ご紹介した事例の中でも顕著に見られるように、これまでとは違ったフォーマットでの作品をリリースし、収益に繋げられる可能性が広がると見られます。

映像やグラフィックと音楽をかけ合わせるといった手法での作品は、これまでにプロモーションのための素材として活用されることが多かったのですが、今後はそのような作品に対しても代替不可能な価値を付与することで、実際にファンが購入を希望してくれるようなシーンも増大すると想定されます。

直近では、映像やグラフィックと音楽をかけ合わせた作品に金銭的な価値がつきやすくなることで、VRやARといったよりリッチな映像手法を取り入れた作品が世の中に増えやすくなり、より表現活動の水準が上がると想定できるのではないでしょうか。

また、作品をほしいと思うファンへ適切な価格で作品を届けやすくなることで、ファンの絶対数が少ないアーティストでも充分な収益を稼げる可能性が高くなり、より表現の純度を高めた状態で活動ができるアーティストが増えるのではないかとも想定できます。

加えて、NFTは、購入者がそのNFTをより高い値段で他者に転売した際に、手数料を創作者に対して発生させることが可能です。

現在では、たとえば販売されているレコードが、購入者から別の購入者に転売された際、創作者に対しての利益は発生しませんが、NFTの場合は、こうした流通が発生した際に、創作者へ転売時に発生した代金の一部が支払われるようなプログラムをNFTそのものに組み込むことが可能となっています。

このような仕組みを活用することで、より永続的な収益をアーティストへ発生させられるポテンシャルがNFTにはあるといえるでしょう。

上記のような影響は、アフターコロナ・ウィズコロナの時勢下で、リアルよりもコンピューターを利用して音楽やアートを楽しむ機会が増えたことで、より存在感を増していくのではないかと想定されます。

 

▼懸念すべき点

NFT自体は、所有の証明は複製できなくとも、コンテンツ自体を何かしらの方法で複製することは可能です。

たとえば、音声コンテンツNFTの音声部分をコピーして、世の中に流通させるといったことは現状防ぎようがないのが実情です。

このため、発行するNFTのどの部分に価値を置くか、に関して、アーティストは思考を巡らせる必要があるといえるでしょう。

また、現在NFTの所有や取引に関しては、法的な規制やルールが整備されていないため、販売者と購入者や、購入者間での取引などに際して、トラブルが発生する可能性があります。実際にNFTを発行し、販売する際には、どのようなトラブルやリスクが直近で発生しているのかを調査するのは必須になると言えそうです。

NFT販売の際には、販売サービスを経由するケースが直近では大多数になるかと想定されますが、現在多数のサービスが日々登場している最中のため、サービスそのものの信頼性や、サポート、コストに関しては注意深く比較検討をした上で、パートナーとなるサービスを決定する必要があるでしょう。

NFTを活用したビジネスに参入するためには、安全性を担保する上で、タイムリーにNFT関連のトピックなどを調査し、適切なアクションを取ることが必要になると言えそうです。

このように、様々な手法を組み合わせることで、大きなビジネスチャンスをもたらしてくれる可能性があるのがNFTではないかと我々は希望をいだいています。

Spinnupでも、引き続きブログで音楽業界の最新情報を紹介していきます。

ぜひアカウントを作成し、ご活用ください。